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冴えかえりつつ 恋

第12章 犬養邸で

遥暉の祖母の家は市内の高台にあり緑に囲まれた古い洋館だった。


「お帰りなさい。大変だったわね」


「おばあ様、こんばんは。突然お願いしてごめんなさい」

「大勢で押しかけて申し分けありません」

「ご迷惑をおかけします」

「お世話になります」


それぞれ遥暉の祖母に挨拶をすると、それぞれに「ようこそ」と言葉をかけてくれた。



4人はリビングに通され、遥暉と泰弘が濡れた荷物をタオルで拭いている。

部屋を見まわして、圭一がキャビネット上の写真立てに目を留める。


「あれ、この写真丸山君に似てる。丸山君の10年後って感じ」

「祖父と祖母の結婚記念の写真です」

離れたところから遥暉が答えた。



「本当、隔世遺伝だな。おじいさんにそっくりだ。美青年」

「勝手に一代跳ばすな。遥暉の親父さんも同じ顔だ。コレコレ」

昼間の険悪ムードはどこへ行ったのか、上出と圭一が写真で盛り上がっている。



ガチャッ、大きなドアが開いて犬養夫人とお手伝いさんが入ってきた。


「雨に濡れて冷えたでしょう、お風呂の仕度ができたから暖まっていらっしゃい。叔子さん、案内してあげて」

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