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冴えかえりつつ 恋

第12章 犬養邸で

初老の家政婦らしき女性が、雨に濡れた遥暉たちを風呂へ案内していった。


「お着替えはそこの駕籠に入っていますから使って下さい。
先ほど遥暉様から見当サイズをうかがってご用意しましたけど、不都合があれば、またおっしゃって下さいね」


あれよあれよという間に、風呂場へ押し込まれた。


「脱いだものは駕籠に入れておいてください、明日までにクリーニングしておきますから」




一般家庭とは思えない広い脱衣所と着替えの準備に面食らう泰弘と圭一に対して、上出は慣れたように、駕籠の中の着替えのチェックをし始める。




「2L、Mが2セットずつか...。Mサイズは遥暉と岡田さんに使ってもらう分だな」



「山口さんは2Lで大丈夫ですか?オレ、上は2Lでもいいけど下がいつも短いんですよね」




上出の呟きに、圭一は頷いた。


「俺もそうだ。かといって3Lだとウエストがブカブカ・・・・」


「へぇ、自分は足が長いって言いたいわけだね、2人とも」




泰弘がトゲのある口調で2人に言い放った。


「どうせ僕はチビですよ」


「そんなこと言ってないだろ、被害妄想だって」


身長が伸びなかったことが泰弘のコンプレックスで、どうしても一言いいたくなってしまう。





圭一が泰弘に構っている間に、少し離れて遥暉が脱ぎ始める。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」



騒いでいた2人が遥暉の方を見て、言葉を失った。



流線形の綺麗な背中。


細い腰。


そして瑞々しい白い肌。




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