冴えかえりつつ 恋
第12章 犬養邸で
「それは...このお屋敷の子ってこと?
そうだ、徳川吉宗的な?」
圭一が真剣な表情で遥暉を見た。
「いいえ、残念ながら紀州松平家のようなことでは無いんです。
単に僕の両親が早くに亡くなったので、母の妹が母親代わりで、丸山家で育ったというだけです。
生まれた時から犬養を背負わされてます」
至極明るい声で語る遥暉。
「丸山の父はいずれ犬養に戻る僕だからと兄たちとは少し違った教育をしたかったみたいですけど、
母が姉の由美と僕を姉妹みたいに育てたものだから、こんな軟弱で世間知らずなんです」
圭一は昼間に遥暉のことを『お姫様』と揶揄ったことを今やんわりと咎められように感じ、
「昼間のこと気にしているなら、謝る。悪かった、この通り、ごめん」
と圭一は遥暉に手を合わせた。
「そんなつもりで言ったんじゃありません。気にしないでください」
「遥暉、遠慮せずに言った方がいいぞ。今夜雨が降ったのも、海が蒼いのも山口さんのせいだって...」
静観していた上出が茶々を入れた。
「上出よ、それはおかしいだろ」
泰弘は、圭一が遥暉や上出と打ち解けて話をしているのを見て微笑んでいた。
そうだ、徳川吉宗的な?」
圭一が真剣な表情で遥暉を見た。
「いいえ、残念ながら紀州松平家のようなことでは無いんです。
単に僕の両親が早くに亡くなったので、母の妹が母親代わりで、丸山家で育ったというだけです。
生まれた時から犬養を背負わされてます」
至極明るい声で語る遥暉。
「丸山の父はいずれ犬養に戻る僕だからと兄たちとは少し違った教育をしたかったみたいですけど、
母が姉の由美と僕を姉妹みたいに育てたものだから、こんな軟弱で世間知らずなんです」
圭一は昼間に遥暉のことを『お姫様』と揶揄ったことを今やんわりと咎められように感じ、
「昼間のこと気にしているなら、謝る。悪かった、この通り、ごめん」
と圭一は遥暉に手を合わせた。
「そんなつもりで言ったんじゃありません。気にしないでください」
「遥暉、遠慮せずに言った方がいいぞ。今夜雨が降ったのも、海が蒼いのも山口さんのせいだって...」
静観していた上出が茶々を入れた。
「上出よ、それはおかしいだろ」
泰弘は、圭一が遥暉や上出と打ち解けて話をしているのを見て微笑んでいた。