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冴えかえりつつ 恋

第13章 恋人

20畳ほどだが大きな天蓋がついたベッドがありほかの家具も内装も当時の豪華なつくりの部屋。

サイドテーブルには水差しもちゃんと用意されている。

節電のためベッド脇のスタンドの明りだけで、天井や壁に大きな影を作っていた。


圭一と泰弘は、大きなベッドを両手でフカフカとさせてみた。

「大変なゴールデンウイークになったね」

「ああ、本当にただの県美見学が一泊二日の小旅行の気分だ」

「明日は受験講座大丈夫?」

「ん、GW前半に終わらせたから、大丈夫だ」


5月とはいえこんな日は夜の気温はすぐ下がる。泰弘は足が冷えるので早速ベッドにはいった。


「・・・なあ、上出と丸山って付き合っているのか?」


圭一が泰弘の隣に腰掛けながら聞いた。

「さあ、お互い気持ちは向いているっぽいけど、付き合ってるかっていうと...」


「あの二人、人間関係に慎重そうだな...。
自分からは一線越えないようにしている感じだ」


「でも丸山君が押し切れば……、いけると思うな」


ーーどうして人のことはわかるのに……。


自信たっぷりに断言した泰弘に、圭一は苦笑した。



「・・・それより、一線越えてもよくない?
俺たち…」



ベッドに片膝であがり、泰弘の唇に触れるか触れないかのキスをした。

「 ‼︎ 」

「昼間、俺のこと煽ったのはお前だからな」

「煽ってなんかないだろう」


泰弘は少し頬を赤らめた。


このキスも親友の悪ふざけと、許してくれる。

親友以上恋人未満の泰弘。


「俺のことあんな風に思っていてくれるってことは、先に進んでもいいってことだろう」


「聞くなよ」


――こんな日が来るかもしれないと、薄々感じていた。
   いいや、望んでいた…?


圭一は泰弘に唇を重ねた。

「嫌だったら言ってくれ」

「………、嫌じゃない・・・と思う」

「素直になれよ・・・」

圭一は、深く長いキスを何度も繰り返した。


圭一が首筋にキスをするたび、ラフに伸ばしたくせ毛が頬にふれるくすぐったさが、全身に広がるのを感じていた。


圭一は泰弘のTシャツを捲り上げ、白い胸の小さく赤い突起にキスを落とした。

「アッ――」


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