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Destiny

第16章 気持ち

あの日以来、竜司さんはいつも通りだったけど、私に触れることは一切なくなった



「何か用事があったから呼び出したんじゃないの?」

そう、私はこの悶々とした気持ちをスッキリさせたくて加奈子を呼びだしていたのだ

「どうせ同居人のことでしょ」

うっ

「決めつけないでよ」

「じゃあ何?引越でも決まった?」

「…竜司さんのことです」

「ほらみなさい」

加奈子は得意気に言って、焼酎を一口飲んだ

私は意を決して今までのことを加奈子に話した

「ふ~ん」

ふ~んってそれだけ?

「結衣は篠田さんに惚れると思ってたわよ。まだくっついてなかったことが不思議なくらいだわ」

「くっつくも何も竜司さんには好きな人居るみたいだし…」

「結衣の憶測でしょ。それって確認したわけ?」

「確認できるわけないじゃない」

何て聞けばいいのよ

「そもそも、どうでもいい人を家に呼ぶ?2、3日ならともかくずっと居ていいなんて言う?好きな相手が居るならそんなこと言うわけないでしょうが」

何故説教されてるんだ…?

「でも、同居してること友達に隠してるし…」

「それはあんた達がつき合ってないからでしょ。同じ職場なんだし?噂ばかり先走りしてもねぇ」

先走りって

「でも人助けなら別に言ったって…」

「だーかーらっ」

加奈子はダンッと乱暴にグラスを置き、話を続けた

「普通居候なんてさせる?仲がいいなら別よ?結衣は篠田さんの立場だったらどうなのよ?居候させる?」

「させない…」

「ほら。答え出てるじゃない」



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