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Destiny

第6章 チャンス

「池内さん?」

声を掛けると彼女はゆっくりと振り向いた

「池内さん、ここに住んでたの?」

黙って頷く彼女

目には涙が溜まっていた


「行くところはあるの?ないなら家にこない?」

呆然とする彼女を見ていられず、とっさに言葉を口にしていた


彼女はビックリして俺を見た

そりゃ驚くよね

俺のこと、記憶の片隅にでも残ってないだろうか?


「すぐ近くのマンションに住んでるんだ。だから通勤も困らないと思うんだけど」

「えっ?」

「落ち着くまで家に来たらいいよ。」


彼女は更に驚いたようだった

あたふたしている彼女もまた可愛い

なんて不謹慎なことを思ってしまった


「怪しいもんじゃないから」

あっ、余計怪しんだかな?

不審者だって思われてそうだな

「えっ?ホントに俺のことわからない?」

と言ってみる


彼女は動揺していた

あーやっぱり知らなかったかぁ

ちょっとガッカリ

拓也がいつも総務部に行ってますよ~
その隣に俺は居ますよ~
俺らの目の前まで来たことありますよ~


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