さよなら、またね。
第3章 不似合いな感情
ー澪sideー
ふと、横を見るとカウンター席のもう1人。
スーツの似合う男性が私を見ていた。
「あ・・・あの・・・?」
視線の理由を聞くために声をかける。
暫く絡みあった視線。
多分年上の落ち着いた雰囲気の男性。
男性には不愉快かもしれないけど、【美しい】という形容が似合うヒトだ。
吸い込まれるような感覚に陥った。
「失礼。こんな美女とこんなBARで出会えるなんて思ってもいなかったので。」
あまりにサラッとクサイことを言うから、何も反応できなかった。
正直、恋愛経験が別れた旦那しかないし。
浮気もしたことない。
私の周りにこんな事を言う男はいなかったから。