さよなら、またね。
第3章 不似合いな感情
「お上手...なんですね。」
少し間が空いてそれだけ言うのが精一杯だ。
彼はニコッと笑って、バーボングラスを軽く持ち上げ、「乾杯」と、一言。
私もそれにならってグラスを持ち上げた。
それから、2時間ほど私たちはBARに居座り、ポツリポツリと会話を交わしながら、入れ替わる他の客を見送った。
そろそろ閉店の時間かな?
マスターが店の入り口に向い、看板を掛け替える音で気付いた。
男性も「今日はおしまいみたいだね。」と微笑んだ。
でも、この居心地のいい空間から離れたくない気持ちも少なからずある。
初めてきたBARで迷惑かけたくないから帰るけど・・・