さよなら、またね。
第4章 ひとりのふたり
「んっ・・・ふぅっ、ん・・・」
唇と唇の間から漏れ出る吐息が静かな部屋に響く。
裏通りはたくさんのラブホテルが並んでいて、そのひとつに導かれるようにふたりで入った。
部屋に入ると、どちらからともなく服を脱ぐより先に、唇を求めあった。
「んっ、はぁっ!!」
息苦しさに口を開けば、彼の舌が狙ったように口腔にねじ込まれる。
お互いの唾液でクチュクチュと淫靡な音が響いて、頭の中は真っ白だ。
彼のキスはとても上手・・・だと思う。
口腔を掻き回していた舌は、時折ピタリと動きを止め、私が焦ったさに自分の舌を差し出すと、待っていたかのように絡め取られる。
歯列をなぞって、口腔を舐めまわされる。
肩に置かれていた手は、いつの間にか腰に回って、背中と腰骨を撫でるように触れられていた。
「んっ、んんっ・・・」
キスだけでこんなになるなんてこと、今までなかった。
私の下着は、これから起こるであろう快楽に期待するかのように恥ずかしい程の染みを作っていた。