☆短☆編☆集☆[新・続]
第1章 家出少年×一匹狼
「...お兄さん」
「ん?」
夢月は下を向きながら俺の名前を呼んだ。俺はそれにソッと、壊れやすいものを大事にするかのように、優しく返事をした。
「何で...出てっちゃったの...?」
「えっ...」 ギク
そう問い掛けられて、夢月の言葉に一瞬心臓が張り裂けそうなくらいにドクンと鼓動を打ち付け、言葉が詰まった。
夢月は顔を上げて、俺をジッと見詰める。真っ直ぐにジッと。
不安そうな顔をしながら。
真剣な目線に俺は吸い込まれるようにして、見詰め返し、はぁ と溜め息をついた。
「可愛いから」
「...ふぇ//」
俺は顔を赤くし、手で髪をクシャっとし、夢月を見詰めた。
「お前可愛い過ぎんだよ
離してって言ってくれなかったら...
多分止めれなかった」
俺がそう言うと、夢月は顔を真っ赤に染め、両手で顔を隠した。
俺はそれを見てやっぱ可愛いなって、ニコッと笑い、夢月の頭をクシャっとした。