
失恋少女のアバンチュール
第5章 1日だけの恋人
「だ、め…//恥ずかしいから…。」
「そっか。じゃあ、二人がもっと恋人っぽくなったら…その時は期待してるね。」
無理に手を出してくることはなく、樹さんは額にキスをすると離れてしまった。
(──ちょっと残念、かな。)
海でたっぷりと遊んだ後は、ウィンドウショッピングまで付き合ってもらってしまった。
「千晴ちゃん、このスカート似合いそうだね。プレゼントしちゃおうかな。」
「ちょっ…!樹さん!私、自分で買いますからっ…!」
慌てて彼の行動を阻止する。いくら大人だからって甘えちゃいけないよね。
「そう?千晴ちゃん遠慮し過ぎで彼氏らしいことできないよ?」
そういって拗ねる樹さんもすっごく可愛い。
他愛ない話題を喋っていると、樹さんの携帯が鳴り出した。
「っ…!ちょっとゴメンね?外で話してくるから、お店見ててもらって良い?」
「はい、いってらっしゃい。」
ディスプレイを見た途端、彼は私に背を向けて慌てたように店を出て電話をしている。
「誰なんだろ…。」
樹さんについて、まだ私は何も知らなかった。
