
失恋少女のアバンチュール
第1章 プロローグ1
あまり新しくないアパートだから慎重に歩かないとギシギシと軋んだ音が響いてしまう。
渉の姿はキッチンには無かった。なら奥の部屋かな?
キッチンと部屋を仕切る扉が珍しく閉まってる。少しだけ開いて中を覗くと、私の中で何かが音を立てて崩れたような気がした。
部屋の中では、私ではない…茶色の長い髪の女の人と渉が裸で繋がっていた。
女の人は騎上位で渉に跨がり大きな胸を揺らしている。渉もその人の頬を撫でながら私にも見せてくれた優しい表情で…
暫く呆然とその光景を見ていると、涙が溢れ出て止まらなくなる。
持っていたケーキの箱を床に落としてしまい、その音に気づいた二人。
「っ…!誰だっ…?!」
慌てて繋がりを解き、渉は女の人を守るように背に隠し、女の人はシーツで裸を隠した。
私は仕方なく仕切りの扉を開けて姿を見せた。
