責められたいの
第20章 ゴウカクイワイ【完】
まだ新入社員の私はきーくんに言うほどお給料を貰えている訳では無かったけど、ずっと彼氏もいないし、特に使い道も無くて……通帳の中には十万円ほどの貯金があった。
なのに、今日の合格発表を受けてきーくんが私に求めて来たのはゲーム機を買うお金なんかじゃなくて……なんと、風俗に行くためのお金だったのだ。
あの、きーくんが?
信じられない……それに、すごくショックだ。
いつも私の後ろを着いて歩いて……姉ちゃん、姉ちゃんって言っていた、かわいいきーくんが。
一般的に考えたら遅すぎるのかもしれないけど、私はきーくんが男であることを今日初めて意識していた。
『ダメダメ!! び、病気にでもなったらどうするの……! すっごい危ないんだから、あんなところ!』
高校の時に一瞬彼氏がいただけの私に風俗のことなんて正直分からなかったけど……きーくんが提示した金額が、ソープランドのような結構ハードなものを想定しているということは想像できた。
そしてそこがどんな所かなんて詳しくは分からないし、実際は病気になんてならないのかもしれないけど……
きーくんを行かせたくない! その思いで私の頭はいっぱいになっていた。