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愛され方の方程式

第1章   春の陽気

「じゃあ最後に、私がみんなの担任をする 柳神 チヨ です。今年は総体とか受験とか大変だけど、最後の一年間を楽しんでいこうねぇ~」
 
 担任の自己紹介が終わり、昼休みに入った。
 
 この学校は珍しく、始業式の日からテストがある。まあ国・数・英の3教科だから、課題をやっていれば普通に点数はとれる。
 
 俺は一人、教室横のベランダで昼飯をとっていると、顔の知らない女子が話しかけてきた。

「あの...、さっきの自己紹介の時...その、名前が聞き取れなくて...。」

 もごもごと話している女子を、ただ俺は興味なさそうに見つめる。

「それで、二度手間みたいで悪いんだけど...名前、教えてくれないかな?」

 どうやら同じクラスの女子だったようだ。 だが、教える気なんてない。俺は立ち上がると、

「どうせすぐ忘れる。教えても無駄だ。」

とだけ伝え、場所を移した。

        ―――――――
「...へぇ。面白そうな奴やな。」

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