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色にでにけり 恋

第2章 ’にほふひと’

遥暉はとても綺麗な容姿をしている。


遥暉の美しさを称える言葉は様々だ。


白百合、白蓮、天使、人魚姫、清水、湧水、新雪・・・・・・etc.



近所の年寄り達は遥暉のことを、
「観音菩薩」と例えるほどの
清廉な佇まいで卓越した存在だった。


遥暉はその見た目の通り、聡明で・・・ちょっと浮世離れしている。


更に、末っ子育ちの朗らかさと、世間知らずで思いのほか手が掛かるという完璧な見た目とのギャップに、自然、人が集まった。



特に上出は世間知らずの遥暉を誰よりも器用に、母のように俗世の水に慣れさせてきた自負があった。


しかし、ここにきて自身がいちばん遥暉を俗物にしたくなくて、日々己の煩悩と葛藤していた。




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