
色にでにけり 恋
第5章 敵の正体
「で成果は?」
「あります。
短時間でものすごく集中されています。」
遥暉は成果が出ていることをうれしそうに話している。
「それで、それ以上の約束はしてないだろうな。」
「それ以上?」
上出は遥暉の目を見て訊いた。
「していません。
一緒に泳ごうって言われたから、上出先輩としか泳がないって断りました。」
「俺としか泳がないって・・・・・・。」
――まさかその一言で、あの宣戦布告か?
でも、なんで享邦学院水球部が出てくるんだ?
「アホ坂、丸山に気があるんじゃないか?
やっぱり関わらないほうがいいぞ。」
‘アホ坂’を繰り返し遥暉に眉をひそめられている慶矩を見て、上出は呆れる。
――誰がアホだか、学習力のない奴だ。
