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色にでにけり 恋

第7章 恋文

聡は短歌の「藤蔭に」という行が引っ掛かった。


まさか藤蔭学園内という意味ではないかと直感したのだ。


卒業生の聡は藤陰が良い学校だと思うが、この悪癖だけは納得できないまま卒業した。

考えずとも遥暉ほどの器量ならば真っ先にその心配をすべきだった。



――最近遥暉と親しくしているのは誰だ?


しかも、暗くなるまで一緒にいる相手。

ってことは部活で遅くなる、慶矩くんか?

最近よく一緒に登下校しているらしいし。


いやいや、遥暉が襲いたくなるような相手

だとすると……泰弘くんか?


いや、この間月陵に来ていた保坂とかいう馬鹿か?


そういえば、あの時妙な事を言ってたな。

享邦学院のなんとかが、遥暉のポセイドンだとか・・・・・・。

でもそれだと、藤蔭じゃないなぁ。



ええい、なんで今回に限って、教育実習を月陵なんかにしたんだ。


下二人の妹弟に滅法甘い長男聡は心で叫んだ。


--今から藤蔭に変われないかぁぁ!?





謎解きに悶々としながら教育実習をこなす聡だった。



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