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色にでにけり 恋

第9章 マーメイド

遥暉は水中に潜る瞬間左半身が利かず
推進力と回転の遠心力とで
背中から流される形で壁に激突した。




ーーごぼぉ、ごぼぼこぼこぉぼ・・・・・


上がらなくては・・・・・・、


思いとは裏腹に左足はいうことを訊かず、

手で水を掻こうとしても背中の痛みで上手く動かせない。



水面が遠くにキラキラして見えた。



激突で頭もクラクラし、息が苦しい。


誰かに腕を掴まれて、コースロープに引き上げられた。



「遥暉!大丈夫か?」



――上出先輩。




遥暉は咽返りながらも小さく頷いた。




上出がほっと息を吐いたのが伝わって来た。


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