テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第11章 だって、もう止まらないの

「……蒸してる……」

「…………!!」

「なんでエアコン付けないの」



綺麗に並んだ本の背表紙を、ひとつひとつ目で追っている間に


黒のTシャツに短パン姿のユーリさんが、部屋に入ってきた。


尖らせていた髪の毛が落ち着いていて、まだ濡れて光ってる。



「暑くねーの?」

「……そ、そういえばそうですね。
でも、勝手に付けるわけには……」

「気ぃ遣いすぎ~~」



テレビボードの上にあったリモコンを手に取り、スイッチを入れると


ユーリさんはタオルで髪を拭きながらキッチンへ向かう。


冷蔵庫から、ミネラルウォーターを出して……


ひとつひとつの仕草を見るだけで、胸がキュンとするのはどうしてかな……



「ちーちゃんも飲む?」

「あ、あたしアイスココアがまだあるので……」

「…………」



ユーリさんは何も言わずに振り向くと、あたしの手に持ったアイスココアに目を向けた。


「…………?」


……どこか、寂しそうな表情……


そういえば、初めて逢った時


連れて行ってくれたカフェでも……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ