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恋してキスして抱きしめて

第13章 夏の嵐

「俺9時出社だから、家を出るのは8時過ぎでいいんだけど。
ちーちゃんも一緒でいい?」



抱きしめた腕を気合いで緩めて、千夏を離す。


俺は朝メシを食わないけど、この子はどうなんだろうと思って立ち上がると



「あ、あたし……先に出てもいいですか?」

「え?」

「今日ゼミがあるのは本当で……その前に図書室で少し予習したいんです」

「図書室?夏休みなのにやってんの?」

「は、はい、特別に早くから開けてくれるらしくて……」





*  *  *





予習が必要ってどんなゼミなの~~?


つーかその為にこんな朝っぱらから図書室に寄っちゃうって、どんだけ真面目なの~~?


って、頭の中でツッコミながらも……



「あ、あの……ユーリさん……」

「ん?」

「ほ、本当にいいんですか……?///」



駅のホームの時計が、まもなく7時半になろうとしている。


圧迫された車内から解放されて、地下鉄の改札を抜けると


申し訳無さを全面に出した表情で、千夏が振り返った。

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