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恋してキスして抱きしめて

第13章 夏の嵐

「ユーリさん、本当にありがとうございました」



入口で立ち止まり肩から手を離すと、千夏はペコッと頭を下げた。


顔を上げたその表情は、降り注ぐ太陽に負けていない。



「すっごく、すっごーーく嬉しい♡」

「……本当に嬉しそうだね」

「はいっ!
もう幸せすぎて溶けちゃいそうです///」

「…………」



……いや、別に千夏だけ行かせて俺はもう一眠りしても良かったんだけど。


天使とこのまま別れるのが名残惜しくて


しかもこんな小っこいのが満員電車に乗るんだと思うと、スゲー心配になってきて


出勤前はエンジンが入らずボケッとしてる俺が、俊敏に支度を終えて出てきたという……


マジで、依存重症レベルだな。



「何のゼミか知らんけど、頑張って」

「はい!」

「それと。
これからは、男に声掛けたりするなよ?」

「………!」

「逆にナンパされたら、花火の日に教えたセリフを言いなさい」




覚えてるよね?って聞くと


千夏は丸い大きな瞳を輝かせて


パアッと花が咲いたような笑顔を浮かべた。




「あたしには

イケメンでかっこいい、大好きなユーリさんがいるので

ダメです……♡」

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