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恋してキスして抱きしめて

第13章 夏の嵐

「……ユーリ……!」



背中から朱莉の呼ぶ声がしたけど、ゆっくりと足を進めた。


……何も聞く気は無い。話す事も無い。


俺達は4年前に終わってるし、ここで立ち止まったとしても、俺は……



「お仕事、大変……?」

「………!」



………震えるその声に、自然と引きとめられるように


振り返らないと決めたのに、俺の足はまたしてもその場で動かなくなる。



「今でも、きっと忙しいんだよね?」

「…………」

「……無理しないで、体大事にしてね。
ユーリ、何でも頑張る人だから……心配だよ……」



……朱莉は、いつも優しかった。


俺の事を、いつもこんな風に気にかけてくれて、傍にいてくれた。


その優しさに、何度救われてきたことか……




……それでも



全て、過去の話。



……朱莉から、終わらせたんだ。

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