恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
* * *
「~~~降ろせよボケ!!」
訴えるように叫んだけど
その声は聞き入れられず、空しく宙を舞って消えていく。
正門の前の友人達に笑顔で見送られ、俺は訳が分からないまま拘束されると
両側を並んで歩く元アメフト部の友人達に、がっちりと腕を抱えられ
引きずられるようにして、構内の並木道を進んでいた。
「説明をしなさい!説明を!!」
と、聞きながらも
俺がここに来るという情報を、皆がどっかから仕入れたという事だけは分かった。
だけど俺自身、それを決めたのはつい数時間前の話だ。
そんな短時間で、一体何がどうなって………
「ユーリ、お前やっぱりすげぇよ」
夏輝と同じくらい、真っ黒に日焼けした元委員長が
俺の前を走りながら、振り返って白い歯を見せた。
「あのヒメと蓮を、ここまで本気にさせるんだからな」
「…………!」
「カリスマ2人を超える奴なんて、いないと思ってたけど
何年ぶりかのメール1本で、ここまで仲間を集めちまうお前こそが
……誰からも愛される、俺達の青春の象徴なのかもしれねぇな」