
恋してキスして抱きしめて
第23章 もう一度、あの場所から
「……俺、お前の前だと
不器用で情けねぇ、ただの男だけど
ちーちゃんが笑ってくれるなら、どんなことでもするよ」
「…………!!」
………あ、あたし………っ
名前を聞いた瞬間
抑えていた涙が、一気に溢れてしまった。
スタンドマイクを握り直して
ユーリさんは、笑顔で続ける。
「俺に恋して、良かったって言ってもらえるように
大事な初恋が、最初で最後の恋になってくれるように
ちーちゃんにとって、相応しい男になってみせるから」
「…………っ」
ユーリさんが、少しだけ沈黙する。
もう、あたしの視界は涙でぐちゃぐちゃで
それでも、彼の声は
真っ直ぐ、あたしの心に響いて
ユーリさんを想う気持ちが
次から次へと、溢れて止まらない。
