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短編集。

第2章 客×花魁





「その後、2人は吉原を飛び出し。誰も何も知らない所に逃げて。二人幸せに暮らしたのでした。」


そんな風に呑気に話すヘラヘラした男が一人。


「それで?死ぬときも2人一緒だったのかな?」


2人は本当に幸せだったのかな?
そう、なんども男に訪ねる男が一人。


「きっと一緒だよ。それに、絶対幸せだった。」


そう笑顔でいう男。


「なんでわかるの?」


男に問う。


「だって、俺達さ今も一緒だし幸せでしょ?魅姫」


なんと、昔事件になった吉原の花魁の魅姫と名が一緒の男。


「かい、でも名前が偶然一緒なだけだよ。」


と、なんだか不思議な気持ちを隠せない男。


「でもね魅姫見て?ここ」


そう言って、男を膝の間に座らせて後ろからだく形にして本を見せる男。


「んんっ…ちょっと、耳に息かかるよぉ」


と、身をよじる男。


「ごめんごめん、はいほらほら見て?」


と、指をさすそこには。


「うわっ…僕とかいがいる。」


そう、その時の白黒の写真に男二人が写っていた。


「俺たち、生まれ変わりなんだよきっと」


と、嬉しそうに笑う男。


「それに、ここ見て?おれ、この人と同じとこにあざみたいなのあるの知ってるでしょ? これって、もう偶然じゃないよ。
運命っていってもいいんじゃない??」


そう楽しそうに笑って話す男。


「んー。まぁ、これが運命じゃなかったとしても。
僕は、かいのこと好きになってた自信あるよ。
僕、かいのこと愛してるもん。」


ぐいっ


「ぅわっ」


とすっ


「嬉しいこと言ってくれるじゃん。
襲っちゃってもいいでありんすか?魅姫さん」


そう言って、ニヤニヤとする男。


「むー、何そのしゃべり方!」


この2人は、本当に生まれ変わりなのか。
偶然であったのか、必然的にであったのか。


「かい、かいは僕だけのものだからね!」

「そんなのわかってる。魅姫は誰にも渡さないよ。」


どちらにせよ、2人の愛は誰にも負けない絆でつながっている。




END

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