どう見ても猫。
第1章 ぼろぼろな黒猫。
その後も俺がソファに座ると当たり前の様にくっついて隣に座ってくる猫に、猫もこうして懐くのかと、恐怖心は薄れていった。
野良猫なのか飼い猫なのか、首輪も何もないのでわからないが、人間慣れしたこの様子に、俺は野良猫でも一度は飼われていたことはあるのだろうと思った。
─にしても、本当に懐っこいな…。
猫という生き物と今までこうして触れ合ったことはなかったが、今自分の隣に落ち着くように座るそいつはとても可愛らしいと思える。
俺が背中を撫でてやれば、気持ち良さそうに目を細めて、何か問い掛けると返事をする様に鳴くそいつ。
─飼い猫だったらはなさないといけないのか…。
なんて、少し残念な気持ちになるのは、俺がこの数時間で相当この猫を気に入ってしまった証拠だ。