とある隠れ女の奮闘記
第2章 振り返れば素晴らしき光景
何で真城さまが、こんな所に……?!
これはあれか、幻。
そんな気持ちが拭えなくて、もう一度ちらりと視線をやると。
「ふふ、そんなにビックリしなくても良いだろ?」
「っ……!」
やっぱり居る!!
流石に頭がクラクラとしてきて、ついにおかしくなったのか視界が薔薇の花で埋まり始める。
金髪碧眼超絶美青年という言葉がぴったり似合う彼は、すとんと那希のベッドへと腰をおろして綺麗な笑みを浮かべた。
「にしても、流石兄弟。本当に尚輝とそっくりだな。でも那希には女性らしさもきちんとある」
「ふぇえ……」
どこか夢見心地になりながら、のぞき込んでくる彼に完璧に魅了され、きらきらとした輝きに目を奪われてしまったから気付くのに少し遅れてしまったが。
「ぁ……今、尚輝って……」
まさか、兄ちゃんと何かしら繋がりがあるのかっ……!
「あぁ。尚輝はオレの恋人だから」
いたずらっ子みたいな表情をして、那希の様子が段々と変わっていくのを愉快そうに見つめる。
えぇっと、真城さまの恋人が、尚輝……尚輝は私の兄ちゃんだからえぇっと……。
え。
……えぇえええ!!
「ににに兄ちゃんがこいび――」
「んな訳無いでしょ」
恋人、と言おうとしてどこか呆れたような声音で遮られる。
「嘘ばっかり」
「本当ですよ。勝手に恋人にしないで下さい」
「先生、それはめちゃくちゃだぞっ」
「えー」