とある隠れ女の奮闘記
第2章 振り返れば素晴らしき光景
「この天然タラシめ」
「え、志摩先生何か言いました?」
「無自覚が一番の罪とだけ言っておこうか」
「遊乃先生まで……」
ちょ、ちょっと待った!
志摩先生と遊乃先生って誰だ?!
真城さまと奏さまじゃないのかっ……。
頭がぐわんぐわんとして、全く状況が掴めない。
いくら想像力豊かな那希でも追いつけない所まで来ていた。
「もういいです。羽恋に慰めてもらいます」
どういう事だどういう事だと混乱している所、
もうここは気合いで振り返ってやると
力任せにぎしぎし鳴る首を動かすと。
「っ……?!」
「オレの見方は羽恋だけ」
今までの中で類を見ない程柔らかな笑みを浮かべる尚輝が、とてつもなく可愛らしい少年を絡みつく様に抱きしめる様子。
眼差しはとても優しげで、その少年が“本命”なんだと一瞬で理解した。