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アクマにアソコを貸しました

第10章 イカ?いいえ、津島です

「あっはっは!確かに!ちょっとイラッとするかもね」

真赭が笑うと私を抱き上げている彼の腕も震えて、思わず首にしがみつく。
「っと、梓穏ごめんね」
「んーん、こっちこそごめ…」顔を上げて彼の顔を見つめたら、語尾はどこかへ消えてしまった。

優しい声とは違い、真赭は全く私を見てなかったのだ。至近距離で覗きこんだ赭(あか)い瞳はさっきの笑い声とは程遠い、無表情なそれで。

京紫みたいに前面に現れている冷酷さより、真赭みたいに柔らかさの奥に隠してある残酷さの方が怖いんじゃないだろうか。


「京紫、その辺でやめてやれよ。

―――もう片付けちゃおうぜ」

((片付ける!?))

私は再び蟲とシンクロしたらしく同じタイミングで身を震わせた。

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