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アクマにアソコを貸しました

第6章 ロスタイム上等じゃないですか

「え?最後何て言ったの?」

首を傾げた拍子に膝の上に置いていたポテトサラダサンドがずり落ちそうになる。

「わ…!」

慌てて押さえようとすると、自分の体もバランスを崩しそうになった。

「「っ!!!」」


ガシッと腰に左腕を回されて頭を胸に引き寄せられた。


「あ「ありがと…梓穏」」

助けてもらったのは私なのに、なんでマソォがお礼を言うのか。


「梓穏が俺を再生させてくれたから。俺と京紫は双子だけど、俺は梓穏の中で育ったから梓穏の事も分かるし、人間の趣味嗜好も多少は分かるよ。

ずっと京紫と一緒で、ずっと梓穏の一部で、


――でもずっと一人だった。
特に梓穏の中に入ってからは、人間の世界を動き回る事も、こうやって自分が梓穏を抱きしめるのも夢だったんだ。

だから、それを叶えてくれてありがとう」

私に回した腕に、キュッと力が籠った。

あーヤベー、イケメンていい匂い。とか脳内でふざけてみる。…そうしないと泣いちゃいそうだ。



*****
夕方のコーヒーブレイクに休憩スペースへ向かう。
人間の飲み物は何で甘いもんばっかなんだ?

自販機の前で何(ブラックコーヒーだけど)にするか迷っていると
「蘇芳さんちょっといいですか、相談があるんですぅ」


相談、ね。だいたい想像つくよ。だってニオイがすごく盛ってる――

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