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晴れと雨

第3章 日

やきもち?

バカバカしい。恋人じゃああるまいし。
俺は母親と同じ姓の女性を呼ぶ渚に不安を抱いた。
それだけだ。
ただ不安があるだけ。
入り口の端で話している二人を遠目でみていた。
間違いない。
あの女性は渚に心を寄せている。
あの時の母親と同じ表情をしている。
うれしそうな、照れくさそうな、でも強い瞳で。
渚も満更ではないんだろう。
不安だが、自分が恋愛しないことを渚に押し付けてはいけない。


不安なのは渚が傷つくこと?
……
俺が、また、一人になること?
………
渚は想い人ができても、俺から離れないよな?
…………
わからない。何を期待しているのか。まだまだ繋がりの浅い他人じゃないか。
普通だったら得体の知れない男より、好きな女に行くに決まっている。
そんなの端からわかってたこと。
何を期待しているんだよ。

…視界が暗くて文字が読めない。

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