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SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ

第15章 宴-EN-

「こんばんわ、リナさん」
人がせっかく眠ろうとしたところに現れたのはニコ目の魔族。空気が読めないそいつは不躾にも人の宿の自室に備わるベッドに図々しく座りやがった。
「帰れ」
「おや、不機嫌ですねぇ。」
なんであたしが不機嫌かわからない、といった口調でぬけぬけとそう言ってくれる。相変わらず白々しいやつ。
かと言って《帰れ》と言って帰るとも思っていなかったけど。
「そーね、まあ良くはないわ。主にあたしの隣に座る魔族のせいでね!」
「まあまあ、落ち着いて」
「なら帰りなさいよっ」
「いやです、今日はお仕事詰めで疲れてるんです、癒してください」
「い、癒す?どーやってよ」
なんか、ヤバイ雰囲気になってきたような気がする。
「じゃあ、そーですね。
リナさんの血をください」
「ほわっつ?」
「ですから血を」
「吸血鬼じゃあるまいし・・・」
あたしがげんなりして言うと、ゼロスは満面の笑みで答える。
「リナさんの血は甘そうですよね。是非一度は味わいたい」
「さらりと危険な発言止めて。
それに絶対いや!」
「少しでいいんです〜」
「そういう問題じゃない!
それにどーやって吸うつもり!」
ゼロスはニヤリと笑って立ち上がり、あたしの前に移動する。ベッドに座ったままのあたしの肩に手を置き、首筋へ顔を寄せる。
「・・・!」
「こーやって・・・」
くつくつと、小さく笑いながら、ゼロスはあたしの首筋を舐め上げ。
「っ、いた!」
「少し、傷を付けさせて頂きました。あとでちゃんと治して差し上げますからね」
首筋に付けられた傷から、生温い血が伝うのを感じ、不快感に顔をしかめた。
「・・・ああ。もったいない」
ゼロスは自身の舌でその伝う血を舐めとる。その感覚に、体がじわじわと痺れていく。まるで麻薬に侵されていくように、悪質に。甘美に。
「やはり、リナさんの血は甘くて美味しいです」
「っ、変わり者魔族っ・・・はん」
「もう少し・・・もう少しだけ、ください、リナさん」
またチクリとした痛みが体を襲い、あたしはどんどん泥濘に嵌っていくかのような感覚に支配される。
ただ感じるのはゼロスの舌の感覚のみ。

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