SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第9章 初恋はイチゴ味?
ふわり、と甘酸っぱい香りが鼻腔を擽った。と、同時に小さめのカゴにたくさん入った赤い美味しそうな熟れたイチゴ。
そんなめるへんなものを持って来たのは、生きとし生けるものの天敵である魔族ーーー獣神官ゼロス。
そいつがニコニコ顔を崩さないまま、ベッドの淵に座り、盗賊いぢめの戦利品の選別をするあたしの前に現れた。
今、あたしたちはセイルーンに向かう途中の小さな町の宿に滞在中。時間的には夕方。日も傾き、あと一時間もすれば夕闇に包まれるであろうそんな時刻。
・・・はっきし言って、遠慮なしの魔族にめっちゃ腹立つ。
「リナさん、こんばんわ♪」
「・・・今日は現れないと思ったのに」
「お仕事が早めに片付いたので、リナさんのところに、と思いまして♪」
「食事をしに?」
「はっはっは、それは秘密です。
あ、これ、リナさんに食べていただこうと思いまして♪」
と、手に持っていたイチゴを差し出した。
「なんで?」
「まあまあ、ほら、どうぞ♪」
あたしの問いかけには答えないゼロスは、イチゴを手につまむとあたしの口におもむろにくわえさせた。
仕方なくあたしはそのイチゴをむぐむぐと食べる。
・・・うん、フツーのイチゴね。甘さと酸味がバランス取れててとっても美味しい。粒も大きいし、これは高価なイチゴかも。
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