SYらぶらぶ集〜X❤︎L〜ゼロリナ
第11章 悲しみに捧ぐリコリスの花束を
0.崩壊
「・・・もう、一緒に旅は・・・したくない。」
まさか。
自分と、今まで背中を任せて来た自称保護者との長くて暖かで居心地がいい旅が、そんな胸を締め付けるーーお互いに、傷つく言葉で終わるなんて、果たして・・・誰が想像しただろうか。
きっと、岩肌の毒舌家だけど本当は仲間思いな青年も、正義かぶれの聖都市の姫巫女も。
誰も、想像出来ない・・・いや、する事すらないだろう。
そして、まさか。まさかまさか。
自分だけが持っていたはずの、彼のずっと隣にいる権利を、顔馴染みのーーしかも、ともに戦った戦友に、いともたやすく奪われてしまったなんて。
ーーもう、彼の隣は自分ではない。
ーー彼の、優しくて暖かい大きな心で、包まれることも。・・・肌を、合わせることすら、叶わない。
ーーー昨日まで、笑いあって、喧嘩して、共に歩んできた・・・そして、恋人として過ごした日々は、もう二度と・・・戻らない。
ーー正直、気が狂いそうだった。
昨日までは・・・幸せな恋人だった。お互いがお互いを認めて。
お互いを求め合って。優しい口づけに、お互いの存在を確認する様に毎晩交わったーー余りにも、仲間としても、パートナーとしても大き過ぎる彼は・・・もう。
少女の絞り出す様な・・・苦しくて切なくなる様なつぶやきは、もちろん勘がいい彼が聞き取れないわけはなかった。
彼は、何も言わない。
それがかえって、優しさにも、嫌味にも思えた。
少女は、ぎりり、と小さく歯ぎしりをした。
彼に悟られない様、ちらりと憎しみの眼を彼の隣に寄り添い、腕を組む長い黒髪の美人に向けた。
でも、返って来たのは自分を哀れむ様な、ーーー捉え様によっては蔑んでさえーー【そんな、憎らしげな目で見ても、彼の隣は譲らない】と逆に皮肉を返されている様で。
ーー痛かった。
全て、どうにでもなれと。
世界なんか、あまりに無慈悲で、不条理だと。
「・・・それじゃ。もう、二度と会わない。・・・あんた達とは、もう・・・
他人。」
「ごめんなさい、ごめんなさいリナさん。わたしがあの時・・・」
「・・・シルフィール!」
.
「・・・もう、一緒に旅は・・・したくない。」
まさか。
自分と、今まで背中を任せて来た自称保護者との長くて暖かで居心地がいい旅が、そんな胸を締め付けるーーお互いに、傷つく言葉で終わるなんて、果たして・・・誰が想像しただろうか。
きっと、岩肌の毒舌家だけど本当は仲間思いな青年も、正義かぶれの聖都市の姫巫女も。
誰も、想像出来ない・・・いや、する事すらないだろう。
そして、まさか。まさかまさか。
自分だけが持っていたはずの、彼のずっと隣にいる権利を、顔馴染みのーーしかも、ともに戦った戦友に、いともたやすく奪われてしまったなんて。
ーーもう、彼の隣は自分ではない。
ーー彼の、優しくて暖かい大きな心で、包まれることも。・・・肌を、合わせることすら、叶わない。
ーーー昨日まで、笑いあって、喧嘩して、共に歩んできた・・・そして、恋人として過ごした日々は、もう二度と・・・戻らない。
ーー正直、気が狂いそうだった。
昨日までは・・・幸せな恋人だった。お互いがお互いを認めて。
お互いを求め合って。優しい口づけに、お互いの存在を確認する様に毎晩交わったーー余りにも、仲間としても、パートナーとしても大き過ぎる彼は・・・もう。
少女の絞り出す様な・・・苦しくて切なくなる様なつぶやきは、もちろん勘がいい彼が聞き取れないわけはなかった。
彼は、何も言わない。
それがかえって、優しさにも、嫌味にも思えた。
少女は、ぎりり、と小さく歯ぎしりをした。
彼に悟られない様、ちらりと憎しみの眼を彼の隣に寄り添い、腕を組む長い黒髪の美人に向けた。
でも、返って来たのは自分を哀れむ様な、ーーー捉え様によっては蔑んでさえーー【そんな、憎らしげな目で見ても、彼の隣は譲らない】と逆に皮肉を返されている様で。
ーー痛かった。
全て、どうにでもなれと。
世界なんか、あまりに無慈悲で、不条理だと。
「・・・それじゃ。もう、二度と会わない。・・・あんた達とは、もう・・・
他人。」
「ごめんなさい、ごめんなさいリナさん。わたしがあの時・・・」
「・・・シルフィール!」
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