「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
「ほぉ…。なぜ、緊急事態なのか分かりやすく説明しろ」
と、先生は、
にんまりと笑みを浮かべ、そう聞いてくる。
「岬から、他の男の匂いがしたから」
大悟は、躊躇なく
はっきり答える。
「それで、その匂いを消そうとしているのか…。でも杉本、それはどういうことだ?」
ギラッと視線が俺に向く。
「えっ…なにが」
不思議と、背中に冷や汗が流れた。
「さっきは、ただ道に迷っていたと言いながら、実は堂々と男と遊んでいたとはな」
黒い…黒いっ!
それに早く言い訳を!!
「ほ、本当に迷っていただけなんです!…あ、多分匂いは、誰かとぶつかった時に…」
お願い、この嘘を信じてくれ。
もうこれ以上、
墓穴掘りたくないんだよ。
先生は、『ふ~ん』と
何か納得していないようだが
もし、俺が翼先輩に会っていたことが
バレたら………
大悟に、キスされちまう!
なぜなら、会うなって約束したし、
破ったから平気でしてきそうだ。
またそれに、プラス…。
翼先輩にも、メールで
大悟にはバレるなって言われて
もし、バレたら一回キスとか
脅された…。
冗談でも、さすがに嫌だ。
そんなキス地獄いらねぇよ。
うえっ。
想像したら吐き気を催した。
考え込んでいたら、気づくと手前で
大悟がポケットから
自分が愛用しているであろう香水を
取り出していた。
「ま、待って…。な、なにすんの…」
若干、顔を引きつる俺。