「俺は、男だ!クソ野郎」
第6章 何で俺…女装してんの。
―――……。
そんなこんなで
車に揺られて数分が経った。
「姫、もう着いたよ」
そして翼先輩が
俺の肩をとんとんしてきた。
「え?」
もう、着いたのか?
せっかくベンツに乗っているのに
全然ノリ気じゃなかった。
俺の気持ちはまだ晴れていない。
まぁ、あのハーフ野郎(紺野)に
会わないことだけを祈ろう。
そう心で頷き、頭の中を整理して、
車から降りようとしたら翼先輩に呼び止められた。
「あ、そういえば、姫に俺からのプレゼントがあるんだ」
そう言って
何やら、箱を取り出した。
「は?な、なんだ、それ…」
指差しながら
そう問うと翼先輩は、嬉しそうにその箱の中から
女姓が履きそうなピンクの靴を出した。
「このパンプス可愛いでしょ♪姫に絶対似合うと思って選んできた」
「パンプ…ス?」
俺は、聞き覚えのない言葉に
首を傾げる。
「ミュールやハイヒールも考えたけど、やっぱり丁度いい高さのパンプスに決めたんだよ~」
『俺、まじ紳士』って
聞こえたけど無視した。
ま、説明してくれたのはありがたいが
何を伝えたいのかわからない。
そう、意図が読めないのだ。
それに色々と
考えてくれたみたいだが
「俺、自分のこのスニーカーでいいや」
悪いが結構ですと言って、
断った。