「俺は、男だ!クソ野郎」
第7章 助けて大悟…
俺は、幻覚でも見ているのかと
疑ってしまう。
う、そ…。
なんで…大悟がここに…っ。
どうやら、さっきの鈍い音は、
大悟がドアを蹴ったせいで
取れた音だったみたいだった。
「…聞こえねぇの?岬にそんなもん触らせんな」
大悟は、不機嫌にドスのきいた低い声で
淳兄を睨み付ける。
幻覚なんかじゃない…本物の大悟だ。
俺は、安心したかのように
すぅと涙が頬を伝った。
「今、お取り込み中なんだけたど、………何か用?」
淳兄は、邪魔されたことがイラついたようで
キツい口調で大悟を睨み返す。
淳兄の顔は、さっきまで
俺に見せてた怖い表情が比じゃないくらい
今のが倍、恐ろしかった。
ガンッー
その音と共に、
血相を変えた大悟が
淳兄をガシッと掴みかかっている。
そのおかけで俺は、
あっさりと淳兄から解放された。
「“俺の”岬を返してもらおうか」
大悟のその言葉に、
淳兄の眉がピクリと動いた。
「…はっ?お前のだって…?笑わせんな、このクソガキ。誰がお前なんかに岬を渡すか」
「岬は、俺がいないとダメだからね。失せろケダモノ」
「ははっ、今思い出したよ。お前昔から岬にベタベタしていた幼なじみの害虫じゃねぇか」
淳兄は、笑いながら酷いことを言う。
そんな淳兄に対して、
大悟は軽く笑った。
「ふっ、俺にとっちゃテメェが害虫だけどな。」
でも目は、一ミリも笑っていないが。