「俺は、男だ!クソ野郎」
第8章 ドキドキが止まらない。
大悟は、子供をあやすように
よしよしと俺の頭を撫でた。
…悪意を感じる。
「 あと、合気道とか護身術もか習えよ」
「あ、あぁ…」
合気道や…護身術ね…。
昨日のことで
軽く淳兄がトラウマになった。
今までにあんな怖い淳兄、初めて見た。
思い出しただけでも、少し震えてしまう。
自分でも思うほど、力が出なかった。
「なんつって…合気道とか習わなくても俺が守ったやるけどな」
「え…?」
ドキッ。
大悟は、柔らかな笑顔で俺を真っ直ぐに見つめた。
不覚にも、
ドキッとしてしまった。
「これからも、俺を頼れ。その方が俺も嬉しいから。…ん?どうした?固まっちゃって…もしかして俺にときめいた?」
「は、はぁ!?う、うっせぇ!」
慌てて口元を手の甲で押さえながら、
視線を逸らした。
そしたら、俺の反応を見て
大悟は、クスクスと笑っていた。
く、くそ…っ。
何なんだ、全く。
べ、別に、
嬉しいなんて思ってないぞ…。
ホッとなんか、これっぽっちもしてないし。
うんうんと、心の中で頷く。
「こ、これから鍛えるから、別にいいし」
「強がらなくても大丈夫だよ」
「ば、ばかやろ…う」
大悟にしては、
優しすぎるだろ…。
いやいや、考えてみると
今までの大悟だって優しかったな。
…ま、時に怖い要素もあるが。
すると、
真正面からぎゅって抱き締めれる。
「うわっ。きゅ、急に何…っ?」
突然のあまり、びっくりしてしまった。
「これ以上、岬を見ていたらいろいろやばくなるから抱き締めてみた」
「なんだ、それ…」
け、貶されているのか…?