「俺は、男だ!クソ野郎」
第10章 …こんなの俺らしくない
「あら、聞いてなかったの?珍しいわね。えぇそうよ。だからきちんとしてね」
「そんなん聞いてないし。珍しいって何?誰かウチに来るの?」
起きたばかりなので、頭が回らない。
「そうよ」
「誰が?」
「淳ちゃん」
「え!?じゅ、淳兄が!?」
母さんの言った言葉に俺は
一瞬にして固まる。
「そう。岬に連絡しないで来るなんて淳ちゃんどうしたのかしら。いつもなら必ずと言っていいほどするのにね」
珍しいわ、と言う。
ちょ、そんなの聞いてないって!!
俺は、再びベッドの布団の中に潜り込む。
「あ、岬っ!何またベッドなんかに潜っているの!言ったでしょ、今日淳ちゃんが来るの、起きなさい」
「俺はいないって言って。そう俺はいない」
ブルブルと体が震え出す。
淳兄には会いたくない。