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甘く染めて

第9章 №8



 「亜…純実?」

 咲子も不思議な顔で亜純実を見つめた。

 「……………」

 私は黙ることしか出来なかった。

 亜純実の気持ちがすごくわかるから。

 黙ってうつむく亜純実。

 ど、どうしよう、この空気…。

 「っよぉっ!四人組~元気にしてる~?」

 窓からぬっと顔を出してこの不陰気を追い出してくれたのは、

 「良ちゃんっ!」

 良ちゃんだった。

 「うっす、お前ら何怖い顔してんの (笑) 何々~、怪談話か~?」

 「アホ良!こんな昼間からそんな怖い話するわけねぇじゃん!」

 うっはっはっと爆笑しながら、咲子が言った。

 「良君おもしろいねえっ…ってあんまりおもしろくもないけどね」

 フッと小夏は言うとおにぎりをまた食べ始めて、

 「ほらっ亜純実も!食べなきゃ食べなきゃ~ッ…ね?」

 小夏が亜純実に笑いかけて言ったおかげで、亜純実は「うん…ありがと小夏!」と笑顔で言って、

 なんとかこの変な不陰気はどこかへ行った。

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