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甘く染めて

第9章 №8



 「うぉっ!先生、手、あつっ!熱上がってるんじゃないの?!」

 ひえぴたも、氷枕も、何もしてないからじゃん…

 「んー…上がってるかも…ひえぴたとってきてー…ゴホゴホッ」

 「わ、わぁった!」

 急いでリビングに向かい冷蔵庫の中からひえぴたをとりだす。

 「先生、とりあえず寝たら?…熱上がっちゃうよ…」

 ずっと座ってくれていた先生。

 私が来たから座ってくれてたのかな…。

 「うん…」

 先生は、ゴロンとベッドに寝転がって私をチラリと横目で見た。

 「…ひえぴた貼って…?」

 甘い声で先生がつぶやくので、ドキッと心臓が跳ねた。

 「ん…わかった」

 ピリピリとひえぴたのシートを剥がし、先生のおでこにかかっている髪の毛を上に上げた。

 「貼るよ…えいっ!」

 ビタンッと勢いよく先生のおでこに張った。

 「ったあ!もうちょい手加減しろよ…」

 「あは…ごめんなちゃい」

 「ちょっと寝る…適当に帰っていいから…」

 グリンと私が座っていない壁の方に先生は顔を向けると、

 「スースー…」

 という、音しか聞こえなくなった。

 

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