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兎ノ夢

第9章 月

空を仰ぐと、ボクは何かの入れ物に入っている錯覚に落ちた。
まんまるの、歪みのない月。
雲ひとつなく、やけにその存在が際立って見えた。
あの明かりは、この世界の外の明かり。
全部の常識を取っ払って。
ボクもいつか、あの明かり側に逝くときが来るのだろうか。
そのときは、どうか
今日のような雲ひとつない、澄んだ空であってほしい。
そうすれば、君にも見つけてもらえるかもしれないから。

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