
シュールな関係
第16章 動いた関係
俺が会社にタクシーで戻ると、
エントランス前で山本が傘
をさしながら俺を待っていた。
整った顔に黒縁メガネをかけ
スッキリと背が高く30代半ば
黒いスーツを着こなし無線電話
を取りながら連絡をしている
どんよりと真っ暗な空からは
雨が止むことはなくさらに
激しさが増す。
山本は自分の傘を差し出し
「雅也さま
お待ちしておりました
どうぞこちらへーーー」
と俺を中に誘導する。
「山本
忙しいのにすまねえな」
「お気遣いありがとうございます
気になることがありましたら
何なりとお申し付け下さい」
「あれから何か分かったか?」
「神崎様の件ですがーーーー
女性の警備の者に確認の為に
神崎様のロッカーを先ほど
開けさせました
私服に着替えられら様子もなく
デスクの横に貴重品も携帯電話
もあるため
ただ今、警備の者に全館を
チェックさせております
直ぐに連絡が入ると思います
暫くお待ちください」
苛立つ俺とは対照的に山本は
沈着冷静に対応する。
