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紳士協定布いてます

第8章 忘れられた協定

「そんな・・・。」

「ダイはみんなに守られっぱなしで、恩返しもしないなんて、ねぇ。」


巴山が牧野に同意を求めると、牧野が慶矩に言った。


「山口さんにも恨み言、いわれたんじゃないのか。
--放っておけば、興味本位の視線にダイが晒されるぞ。」

「・・・。」


巴山が慶矩の顔を観て、椅子に掛け直し話しを切り上げる。


「混乱して言葉も出ないって感じね。
ダイの気持ちを聞いてでなおしてらっしゃい。」


ヒラヒラと手を振って一方的に慶矩を追い返そうとする。


「一言、言っておくわ。私も藤堂も、姫が気に入ったから協定なんか関係無く、友達として彼を守るから・・・、『いつまでもピルピル逃げてンじゃねぇ!』ってダイに伝えて♥︎」


慶矩が退室した後、巴山が牧野に向かっていった。


「彰先輩が弟を差し出すと言ったとき、酷い人だと思ったけど・・・、違うわね。
遥暉くんの器が分かってたからよ。彼にこの椅子に座ってもらいたいわ。」

「おや、聞き捨てなりませんね。仮にでも僕の後にして欲しいものです。」

「冗談よ。本当の賢者はこんなとこに座らないわ。ふふッ。」


自嘲気味な台詞に、牧野は答える。


「自覚していれば、愚者には落ちませんよ。」

「ほんと、あんたは可愛くないわ。あと一月こき使ってやるから!」

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