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紳士協定布いてます

第13章 創立記念祭

「何よりダイがダメなんだから、仕方ないじゃない。」


遥暉の横で朝から悲壮な顔で登校していたダイが呟く。


「ゴメン。他の人では気を使ってしまって集中できなくて・・・。唯でさえ大勢の前でのパフォーマンスだし・・・。」

「私は姫となら嬉しいから、全然構わないわ。」



平常通りを装う巴山の口調とは真逆の、緊張した声音のダイが叫ぶ。


「ああぁぁぁ、緊張してきたぁ。旨く襷が掛けれなかったらどうしよう。」

ーーそんな、些細なこと・・・。ウザい。


巴山はダイがプチパニックを起こしているのを冷ややかに見た。


「僕がフォローしますから。--袴も落ちないように秘密兵器を持ってきました。」



そう言って大きな事務用クリップを幾つも挟んだ袂を裏返して見せた。


「やるわねぇ、姫。」


巴山は少しでもダイの緊張を和らげようと朗らかに振る舞う遥暉に少し協力しようと、何か気の紛れるようにと話しかけた。


「それにしても、ダイは着物を着なれているのねぇ。」

「父の画のモデルで小さい頃から着物で過ごす時間が多かったから・・・。」


コンコンとふすまの向こう側のドアが叩かれる。



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