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紳士協定布いてます

第2章 ラッシュの理由

「くくくっ」

「なんだよ」


泰弘が声を殺して笑ったら、咄嗟に自分が笑われたと感じたらしい圭一が口を尖らせた。


「ああ、ごめん。変な顔」


泰弘は圭一の尖らせた口端を摘み言葉を続けた。


「僕はね、吊広告はちょっとした情報源でいいと思うんだ。だけど邪魔だと思っている人も少なくないことに気づいただけ」

「んん?」


泰弘に口を摘ままれ声に出せず、うめき声で聞き返す圭一。


「圭は電車が揺れるたび吊広告が顔をかすめるのが腹立たしいと思ってるだろ?」

「んっ、ぱぁあ」

圭一は泰弘の手を外して、軽く呼吸を整えた後、答えた。


「そりゃぁ、もう、うっとおしい」

「それから・・・、圭を目当てにしている女子高生たちにとっては、イケメンが見えなくなって邪魔だと思っている」

「なんだそれ」



と嘯いた圭一に、泰弘は上目づかいに睨んで注意した。



「あんまり腐女子を刺激するなよ」

「あ、バレてた?」

「わからイデか」


抱えた学生鞄で脇腹をつついた。

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