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紳士協定布いてます

第4章 紳士協定

泰弘は圭一の執拗さに辟易として、昼休みに図書館へ逃げて来ていた。


――全く今週末には全国模試があるのに、ごちゃごちゃ煩くて勉強に集中できないんだよな。
 


図書館に入ると生徒たちが一点同じ方を見ているという異様な光景が目に入って来た。

視線の先には男子校に似つかわしくない綺麗な学生がゆったりと歩いていた。


――あれ、丸山君。



人気のない美術書コーナーに入っていく遥暉を見つけ、急いで席を確保して後を追った。


「丸山君。」

「あ、岡田さん。こんにちは。」



上品に微笑み挨拶をする遥暉の手には、『古筆を紐解く』という本。


「丸山くんは絵画だけでなくて書にも興味があるの?」

「まあ、日本画の参考になるので手当たり次第です。」

「日本画?ああ、公園でもスケッチしてたのは、日本画なんだ?
熱心なんだね。」

「これくらいしか打ち込めることが無くて・・・。」


微笑む遥暉の後ろにチラチラと見え隠れする人影に泰弘は気がついた。


――新聞部の連中とは違うな。





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