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紳士協定布いてます

第8章 忘れられた協定

「ちょっといいか、慶矩。」


朝練で靴ひもを結んでいるとチームメイトの三枝に声をかけられた。


「なに?」

「ダイさんのことだけどな。」

「ダイ?」


慶矩が顔を上げる。


「ダイさんのこと、下級生が最近騒いでる。『協定違反だ』って。」

「俺がダイさんを構って何が悪いんだよ。」



慶矩はいつものように協定違反に無関心だ。



「ダイさんは芸術家肌で繊細だ。お前の幼馴染とは訳が違うぞ。」

「なんで?今までだって、ダイは兄貴の件で圭先輩に締め上げられてたことあったじゃん。」

「圭先輩は節度を知っているし、ダイさんだって圭先輩だから甘んじてたけど・・・。」



ダイを案じて云い募るチームメイトに、慶矩はなぜか不愉快な気分になった。



「ダイさんのこと・・・、知った風なこと言うなよな。」

「そんな言い方ないだろう。お前のファンは性質が悪いから忠告してんだろうっ・・・。」

「そんなん、知るかよ。」

「お前がダイさんを日向に引き摺り出したんだから、責任もてよ・・・」

「・・・っんだと?!」



慶矩が三枝の襟を掴み、慌てて周りが止めに入った。






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