
妖狐×僕SS 短編集☆
第6章 囚われの女
あぁもう嫌だ
ここから消えたい
コンコンコン...
『セラたん 起きてるー?』
やめて
『入るぞ!』
『不法侵入だよ、蜻たんったら~』
やめて、こないで
「セラたん」
毛布ははぎ取られ
手首を強く握り
そのままシーツに押し付けられる
「おはよう☆」
残夏...目が笑ってないよ...
仮面のような顔が近づき
首元に埋まったと思えば痛みが走る
「っ!!」
「なかなか起きてこなかったから 死んだかと思ったぞ! 心配させるなんてドSだな 貴様も!」
蜻蛉は私の足をとり
ふくらはぎへ噛み付いた
「いっ...たぃ...」
「当たり前だろう? 痛くしたんだからな」
マスクを外し普段見られない整った顔
その蔑むような目で見下ろされる
この人はこんな顔もできるのか
マスクなんかしなければ良いのに
残夏に貪るようなキスをされ
思考が途切れる
足には蜻蛉の手が這っていた
また
今日も始まる
「愛してる」
聞こえたのは誰の声だったか...
end.
