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ただ、君を愛するための嘘をつく

第2章 海底モノクローム


「なぁ、おまえ。誰とでもヤルってマジなの?」


ガヤガヤする教室の中。


黄金色の髪が風に揺れた



私の席は窓側の一番後ろ。


“変な噂”の根源のアタシに
近寄るのも声をかけるのも・・・

あたしの記憶にないくらいだから、ないんだと思う


相変わらず暑苦しくて
うるさい教室



ゆっくりとその男を見つめる


男は、暑さにもさっきのセリフにも見合わぬ様子で清々しそうにしていた。


「じゃぁさ、俺とヤんない?」


ニシシッと
まさにそんな感じで笑う。


右側の髪の毛はバッテンでピンドメが付けてあって、腰パン以上に下げたズボン。

上のカッターシャツは前のボタンを全部開けて、中はタンクトップを着ていた


その容姿だけで世で言う
“不良”であった



なぜか、無意識に
惹かれてしまったのか・・・

男の首元を握りながら席を立って
自身の顔元に引き寄せた

もう少し近づけば
キスもできそうなくらいに。


「アンタはアタシを愛してくれる?」


自分でも思いがけないセリフ

なんで言ったかも不明


そのセリフに
笑顔と余裕を消した男は
面食らったような顔をしていた


ハッとして

パッと、胸ぐらをはなす


「なーんて、ジョーク。」


ゆっくり席に座ると

男の方を見ないようにと。


顎に肘をついて
窓の外を眺めることにした







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